特集

特集:地理的表示(GI)

【GI制度の基本と表示基準】(知的財産としての保護)

WTO協定(TRIPS協定)
国税庁長官の指定
2015年(平成27年)10月 新表示基準制定
酒類の知的財産権・ブランド保護

酒類の地理的表示 (GI: Geographical Indication)

指定機関:国税庁 4つの酒類区分 虚偽表示の禁止

お酒の確立した品質や社会的評価が「特定の産地」に由来することを国が認定・保護する制度。2015年10月に「酒類の地理的表示に関する表示基準」が全面的に改正され、清酒、蒸留酒、ぶどう酒、その他の酒類(リキュール等)の4区分で指定が行われています。教本P114-116

▼ 試験最重要ポイント(表示ルールと保護規定)

Point 1

ラベルへの「GI」併記義務

平成29年10月以降、GIを使用する場合は「地理的表示」「Geographical Indication」または「GI」の文字を1箇所以上併記することが義務づけられています。(※国家GI「日本酒」のみ併記不要の例外あり)

Point 2

「〇〇風」「〇〇タイプ」の禁止

指定産地以外で作られたお酒に「〇〇風」「〇〇様式」「〇〇タイプ」などの文字を付けて消費者を誤認させる表示は固く禁止されています(例:「壱岐風焼酎」など)。

【GI 日本酒】(国家レベルの地理的表示)

国内産米のみ使用(100%)
×
日本国内で醸造・製造
2015年(平成27年)12月25日 指定
国税庁長官指定・日本国GI

GI 日本酒 (にほんしゅ)

対象酒類:清酒 国内産米100% 国内水・国内醸造

原料米として国内産米のみを使用し、日本国内で醸造された清酒のみが「日本酒」を名乗ることができます。外国産米を使用したり海外で醸造したものは酒税法上「清酒」であっても「日本酒」とは表示できません。教本P1, P115

▼ 歴史と制定背景

2015年(平成27年)
国家GI「日本酒」の指定
海外での模倣品防止や日本産清酒のブランド確立を目的に、国税庁により国家レベルのGIとして「日本酒」が指定されました。

▼ 試験重要ポイント

Point

「清酒」と「日本酒」の違い

「清酒」は酒税法上の酒類品目名。「日本酒」は国内産米100%かつ日本国内醸造を満たした清酒だけに認められた地理的表示(GI)です。

【GI 白山】(清酒として全国第1号のGI指定)

石川県白山市内での製造
×
国内産米・手取川水系の水
2005年(平成17年)12月22日 指定
清酒の地理的表示 第1号

GI 白山 (はくさん)

対象酒類:清酒 石川県白山市 手取川水系 加賀菊酒の伝統

清酒(日本酒)として全国で最も早く指定を受けた栄えある第1号GI。霊峰白山を源とする豊かな手取川伏流水と、室町時代から天下に名を馳せた「加賀菊酒」の伝統を受け継いでいます。教本P62, P115

▼ 試験重要ポイント

Point

「日本酒初」と「指定年(2005年)」

「清酒として日本で最初にGI指定された産地はどこか(白山)」「指定年はいつか(2005年/平成17年)」は試験頻出です。

【GI 山形】(都道府県単位で初のGI指定)

山形県内での製造・貯蔵
×
国内産米・県内の指定水系の水
2016年(平成28年)12月16日 指定
清酒で初「都道府県単位」指定

GI 山形 (やまがた)

対象酒類:清酒 山形県全域 DEWA33の土台 オリーゼ山形

清酒として都道府県という広い枠組みで初めて指定を受けた画期的なGI。出羽燦々や雪女神などの県オリジナル酒米、オリジナル酵母、オリジナル種麹「オリーゼ山形」など、官民一体の酒質向上が結実しました。教本P57, P115

▼ 関連する重要キーワード

基準 純正山形酒

DEWA33 (でわさんさん)

1997年制定。出羽燦々100%使用、精米歩合55%以下、山形酵母、オリーゼ山形を使用する純米吟醸酒の認定基準。これがGI山形の礎となった。

【GI 灘五郷】(日本一の酒どころ・名水「宮水」の男酒)

神戸市灘区・東灘区、西宮市内での製造
×
国内産米・西宮市の「宮水」等
2018年(平成30年)6月28日 指定
江戸からの伝統・日本酒の王者

GI 灘五郷 (なだごごう)

対象酒類:清酒 西宮の宮水(硬水) 丹波杜氏 キレのある男酒

西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷の5つの郷からなる全国最大の銘醸地。リンやカルシウムを豊富に含む硬水「宮水」と丹波杜氏の卓越した技術により、味わいの調和と後味のキレが際立つ酒質を生み出します。教本P67, P115

【GI はりま】(酒米の王様・山田錦の故郷)

兵庫県播磨地域内での製造
×
播磨産「山田錦」100%・地域の水
2020年(令和2年)3月16日 指定
山田錦特化型プレミアムGI

GI はりま (はりま)

対象酒類:清酒 山田錦100% 特A地区の土壌

酒造好適米の王者「山田錦」の生まれ故郷であり、最高峰の特A地区を擁する播磨地域。播磨で栽培された山田錦のみを使用し、豊かな自然と水系で醸されるプレミアムな清酒に特化して指定されています。教本P67, P115

【GI 利根沼田】(利根川源流・雪解けの超軟水)

群馬県利根沼田地域での製造
×
国内産米・利根川源流域の水
2021年(令和3年)1月22日 指定
関東の清冽な名水GI

GI 利根沼田 (とねぬまた)

対象酒類:清酒 群馬県利根沼田 谷川岳・尾瀬の超軟水

沼田市、みなかみ町、片品村、川場村、昭和村が産地。谷川岳や武尊山、尾瀬の雪解け水からなる超軟水を生かし、柔らかで透明感あふれる上品な酒質を誇ります。教本P115

【GI 萩】(酒蔵と米農家の地域限定連携)

山口県萩市・阿武町内での製造
×
萩地域内で収穫された米100%
2021年(令和3年)3月30日 指定
地域密着・地産地消型GI

GI 萩 (はぎ)

対象酒類:清酒 萩市・阿武町 地元産米に限定

山口県北部の萩市と阿武町が産地。地元の酒蔵と米農家が固く連携し、原料米を萩地域内で収穫された米(山田錦、西都の雫、穀良都等)に限定していることが最大の特徴です。教本P71, P115

【GI 山梨(清酒)】(名峰がもたらすミネラル名水)

山梨県内での製造
×
国内産米・県内の名峰伏流水
2021年(令和3年)4月28日 指定
ぶどう酒に続き清酒でも指定

GI 山梨 (やまなし)

対象酒類:清酒 山梨県全域 富士山・南アルプスの水

2013年に指定されたぶどう酒に続き、清酒でも指定。富士山、南アルプス、八ヶ岳などの名峰に囲まれた山梨の豊かな水質と冷涼な気候が、清らかでキレのある美酒を育みます。教本P115

【GI 佐賀】(九州清酒初の県単位GI・甘美なうま口)

佐賀県内での製造
×
佐賀県産米・県内の水
2021年(令和3年)6月14日 指定
九州の日本酒王国

GI 佐賀 (さが)

対象酒類:清酒 佐賀県全域 濃醇うま口 佐賀県産米100%

九州地方の清酒産地として初めて県単位で指定。佐賀平野の豊かな米と軟水を用い、甘味・旨味・酸味が豊かに調和した「濃醇うま口」の酒質が全国・世界で高く評価されています。教本P115

【GI 長野 / GI 信濃大町】(呼称管理制度の先駆と北アルプスの水)

長野県内(大町市内)での製造
×
長野県産米(美山錦等)・アルプス水系
2021年6月(GI長野) / 2023年6月(GI信濃大町) 指定
原産地呼称のパイオニア

GI 長野 / GI 信濃大町 (ながの / しなの và おおまち)

対象酒類:清酒・ぶどう酒 酒蔵数全国3位(85場) 美山錦・ひとごこち

2003年開始の「長野県原産地呼称管理制度」の歴史を受け継ぐ「GI長野」。さらに2023年には北アルプスの麓・大町市に特化した「GI信濃大町」も指定されました。教本P60, P115

【GI 滋賀】(琵琶湖水系と近江米・食文化との調和)

滋賀県内での製造
×
滋賀県産米(近江米)・琵琶湖水系の水
2022年(令和4年)4月13日 指定
近江商人の伝統とマザーレイクの恵み

GI 滋賀 (しが)

対象酒類:清酒 滋賀県全域 近江米 鮒ずし等の食文化と調和

琵琶湖を囲む山々から注ぐ清冽な伏流水と、豊かな穀倉地帯「近江」の米で醸造。鮒ずしや湖魚料理などの伝統的な発酵食文化と深く結びついた、豊かな米の旨味が特徴です。教本P68, P115

【GI 新潟】(酒蔵数・消費量日本一・淡麗辛口の頂点)

新潟県内での製造・貯蔵
×
新潟県産米(五百万石・越淡麗等)・軟水
2022年(令和4年)2月 指定
酒蔵数日本一(89場)・成人消費量1位(8.3L)

GI 新潟 (にいがた)

対象酒類:清酒 新潟県全域 淡麗辛口 越後杜氏の技

豪雪地帯の雪解け軟水と冬の低温環境、早生品種「五百万石」や大吟醸向け「越淡麗」を生かし、きれいでキレ味鋭い「淡麗辛口」のスタイルを確立した日本を代表する銘醸地です。教本P61, P73, P115

【GI 南会津】(奥会津の豪雪と極軟水が醸す美酒)

福島県南会津地域内での製造
×
国内産米・南会津地域の清らかな水
2023年(令和5年)9月25日 指定
奥会津の豊かな自然

GI 南会津 (みなみあいづ)

対象酒類:清酒 南会津町・下郷町・只見町・檜枝岐村 寒冷地の低温発酵

豪雪に包まれる厳しい冬の寒さと、原生林が育む極めて清らかで柔らかい軟水を用い、きめ細やかでふくよかな味わいの酒造りを行っています。教本P58, P115

【GI 静岡】(静岡酵母の革新・吟醸王国の系譜)

静岡県内での製造
×
国内産米・静岡酵母・県内の軟水
2023年(令和5年)11月30日 指定
河村伝兵衛技師と静岡酵母

GI 静岡 (しずおか)

対象酒類:清酒 静岡県全域 静岡酵母必須 爽やかでフルーティー

1980年代に全国新酒鑑評会で金賞を席巻し「吟醸王国」と呼ばれた静岡。県独自の「静岡酵母」の使用が規定されており、穏やかで上品な果実香と後味のキレが際立ちます。教本P64, P115

【GI 壱岐】(麦焼酎発祥の地・1995年日本初指定)

大麦 2/3(主原料)
×
米麹 1/3(伝統配合比率)
1995年(平成7年)6月30日 指定(蒸留酒 第1号)
本格麦焼酎の発祥地

GI 壱岐 (いき)

対象酒類:蒸留酒(単式蒸留焼酎) 長崎県壱岐市 大麦2/3・米麹1/3

WTOのTRIPS協定に基づき日本で最初に指定された蒸留酒GIの一つ。大麦2/3に米麹1/3を用いる伝統の製法により、麦の香ばしさと米麹由来の上品な甘みが絶妙に調和します。教本P111, P114

【GI 球磨】(500年の歴史を誇る本格米焼酎の聖地)

米 及び 米麹のみ(100%米原料)
×
熊本県球磨郡・人吉市の地下水
1995年(平成7年)6月30日 指定(蒸留酒 第1号)
本格米焼酎の代表格

GI 球磨 (くま)

対象酒類:蒸留酒(単式蒸留焼酎) 熊本県人吉市・球磨郡 米100% 球磨川水系

人吉盆地の清流・球磨川の伏流水と国産米を用い、500年以上の歴史を受け継ぐ米焼酎。米本来のふくよかな香りと甘み、深いコクが特徴です。教本P110, P114

【GI 琉球】(黒麹菌100%・全麹仕込みの伝統泡盛)

黒麹菌を用いた米麹100%(全麹仕込み)
×
沖縄県内の水・単式蒸留
1995年(平成7年)6月30日 指定(蒸留酒 第1号)
日本最古の蒸留酒・クース(古酒)の文化

GI 琉球 (りゅうきゅう)

対象酒類:蒸留酒(泡盛) 沖縄県全域 黒麹菌 全量を3年以上貯蔵で「古酒」

15世紀の琉球王国時代から受け継がれる蒸留酒。黒麹菌によるクエン酸の生成で温暖な気候でも安全に醸造でき、濃厚な風味と長期熟成(古酒)による芳醇なバニラ様香気が魅力です。教本P109, P112, P114

【GI 薩摩】(シラス台地が育む本格芋焼酎)

鹿児島県産サツマイモ・米麹/芋麹
×
鹿児島県内の水(奄美・大島除く)
2005年(平成17年)12月22日 指定
本格芋焼酎の世界的ブランド

GI 薩摩 (さつま)

対象酒類:蒸留酒(単式蒸留焼酎) 鹿児島県(奄美除く) 黄金千貫等 成人消費量全国1位(27.1L)

水はけの良いシラス台地で育ったサツマイモを用い、鹿児島県内で製造。豚肉料理など郷土の食文化と完璧に寄り添う、華やかで力強い香りと甘みが特徴です。(※黒糖焼酎産地である奄美市・大島郡は除外)教本P111, P114, P118

【GI 東京島酒】(伊豆諸島の島々が育む最新GI)

伊豆諸島(大島・八丈島等)での製造
×
麦・サツマイモ・島の水
2024年(令和6年)3月13日 指定(最新GI)
2024年指定・島嶼部の焼酎文化

GI 東京島酒 (とうきょうしまざけ)

対象酒類:蒸留酒(単式蒸留焼酎) 伊豆諸島(東京都) 流人文化がルーツ

大島、利島、新島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島が産地。江戸時代に八丈島へ流刑となった商人(丹宗庄右衛門)が伝えた芋焼酎を起源とし、島ごとの多彩な個性を持ちます。教本P114, P115

【ぶどう酒(ワイン)GI群 & 和歌山梅酒】(多彩な酒類区分)

指定産地のぶどう・紀州産南高梅
×
各地域の厳格な醸造基準
2013年〜2021年 指定
ワイン・リキュールの地理的表示

ぶどう酒GI & GI 和歌山梅酒

対象酒類:ぶどう酒・その他の酒類 山梨(2013年) 北海道(2018年) 長野・山形・大阪(2021年)

日本初のワインGIである「山梨」をはじめ、冷涼な「北海道」、欧州系品種が盛んな「長野」、デラウェア主体の「山形」「大阪」が指定。また「その他の酒類」として唯一「和歌山梅酒」(南高梅使用)が指定されています。教本P115

▼ 清酒・ぶどう酒の両方でGI指定を受けている3県

ダブル指定

山形県 ・ 長野県 ・ 山梨県

日本国内で「清酒」と「ぶどう酒(ワイン)」の双方で県単位のGI指定を受けているのは、山形県、長野県、山梨県の3県です(試験重要暗記項目)。



【復習クイズ】地理的表示(GI)

上で学んだ内容からランダムに20問が出題されます。知識を定着させましょう!

  • 選択肢1
  • 選択肢2
  • 選択肢3
  • 選択肢4