特集:都道府県別の酒造りと特徴
【全国概況・主要ランキング】(酒造年度清酒製造状況)
全国清酒製造・免許場数概況 (ぜんこくせいしゅがいきょう)
清酒の製造数量は全体として減少傾向にあるものの、純米酒や純米吟醸酒をはじめとする特定名称酒の比率は年々上昇。地域独自の酒造好適米やオリジナル酵母、GI(地理的表示)の認定など、各都道府県が独自の個性を打ち出した酒造りを展開しています。教本P110-111
🏆 特定名称酒製造数量 上位5県
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1新潟県21,682 kl (純米11,063 / 本醸10,619)
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2兵庫県20,389 kl (純米13,232 / 本醸7,157)
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3京都府11,553 kl (純米8,511 / 本醸3,042)
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4秋田県7,079 kl (純米4,619 / 本醸2,460)
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5山口県6,766 kl (純米6,526 / 本醸240)
🏆 清酒全体製造数量 上位5県
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1兵庫県90,276 kl (国内シェア約30%)
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2京都府50,866 kl (国内シェア約17%)
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3新潟県28,727 kl (国内シェア約10%)
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4埼玉県19,391 kl (パック酒・大手等)
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5秋田県11,981 kl (東北最多)
🏆 清酒製造免許場数 上位5県
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1新潟県88 場 (全国最多蔵数)
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2長野県72 場 (山国の名醸地)
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3兵庫県67 場 (灘五郷・播磨)
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4福島県56 場 (会津・中通り・浜通り)
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5山形県49 場 (吟醸王国)
▼ 試験最重要ポイント(ランキングと特徴傾向)
「全体生産量」と「特定名称酒」の違い
清酒全体の生産量トップ3は1位: 兵庫県、2位: 京都府、3位: 新潟県。一方、特定名称酒の製造数量トップ3は1位: 新潟県、2位: 兵庫県、3位: 京都府と順位が入れ替わります。
純米酒比率が極めて高い県
宮城県は特定名称酒比率約96%で全国1位。また山口県は純米系比率約96%で全国1位(特定名称酒6,766kl中、純米系が6,526kl)を誇ります。
【全国の主な杜氏流派】(伝統の技と現代の蔵元杜氏)
日本の杜氏流派 (とうじりゅうは)
江戸時代初期に季節労働の技術者集団として確立。寒造りの定着とともに灘や伊丹、全国の酒処へ杜氏が派遣されました。近年は杜氏の高齢化に伴い、地元主導の新杜氏制度(下野杜氏・会津杜氏・富山杜氏等)や蔵元自ら酒を醸す「蔵元杜氏」への転換が進んでいます。教本P112-113
【青森県】(東北地方)
青森県 (あおもりけん)
本州最北端に位置し、白神山地や奥入瀬渓流など豊かな水源に恵まれた県。県産米による酒造りにこだわり「華吹雪」「華想い」「吟烏帽子」「豊盃」などの酒米を開発。特定名称酒比率は約88%と極めて高く、美しい水を思わせるクリアな酒質から酸と厚みのある味まで多彩な酒を醸造しています。教本P114-115
▼ 歴史と酒造りの変遷
津軽では弘前藩の新田開発で余剰米を使った酒造が発展し200軒以上の蔵が栄える。南部地方(八戸)には東廻り航路で近江商人が入り上方技術が伝播。
弘前で酒母を使わない「純粋酵母醸法」が確立。水力発電所を建設し、冷却器で年中一定温度を保つ「四季醸造」を行い東北随一の隆盛を誇った。
青森県産業技術センター弘前工業研究所が「まほろば華酵母」シリーズや耐冷性酒米「吟烏帽子」等を開発。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
純米向きの「華吹雪」(極大粒)、大吟醸向きの「華想い」(山田錦×華吹雪)、やませ・冷害に強い「吟烏帽子」、全国で青森県のみ栽培される「豊盃」など県産米が中心。酵母は「まほろば華酵母」(華・吟・純・芳)が活躍。
津軽(日本海側豪雪)と南部(太平洋側・やませ・乾燥冷涼)の2つの気候。白神山地や八甲田山のブナ原生林が育む清冽な軟水が湧き出る。
クリアで清らかな酒質と、しっかりした旨味・酸の二刀流。ホタテの貝焼き味噌、十和田バラ焼き、八戸前沖サバの塩焼き、ウニとアワビのいちご煮と好相性。
▼ 試験最重要ポイント
特定名称酒比率と酒米自給
特定名称酒比率は約88%と全国トップクラス。酒米生産量1,317tで「酒米自給自足タイプ」の代表県。
オリジナル酒米と酵母
「華吹雪」(純米向き)、「華想い」(大吟醸向き)、「吟烏帽子」(耐冷性・ヤマセ対策)、「豊盃」(青森限定)。酵母は「まほろば華酵母」。
【宮城県】(東北地方)
宮城県 (みやぎけん)
1986年に全国で初めて「みやぎ・純米酒の県」宣言を行い、特定名称酒比率が約96%と全国1位を誇る吟醸・純米酒王国。食用米ササニシキを用いた酒造りで高評価を獲得し、酒米「蔵の華」「吟のいろは」や宮城酵母(MY酵母)による、綺麗な酸と爽やかなキレ味の美酒を醸しています。教本P116-117
▼ 歴史と酒造りの変遷
仙台藩祖・伊達政宗が京都から名醸造家・榧森又右衛門を招聘し、御用酒屋を設立して酒造りを奨励。
全国に先駆けて全県規模で純米酒へのシフトを宣言。ササニシキ100%の純米酒造りに成功し高品質化を牽引。
出羽の里と東北189号から交配育成されたオリジナル酒米「吟のいろは」が2019年に命名・導入。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
耐冷性の「蔵の華」、大粒で心白発現率が高い「吟のいろは」、食用米の「ササニシキ」「ひとめぼれ」。酵母はきょうかい12号酵母のルーツとなった「宮城酵母(MY310, MY320)」で穏やかな香りと酸が特徴。
仙台平野を潤す北上川・阿武隈川水系。軟水仕込みによる滑らかな口当たりと、冬の乾燥した寒風(からっ風)が寒造りに適する。
綺麗な酸とスッキリしたキレ味、穏やかな吟醸香。仙台牛タン焼き、仙台せり鍋、三陸の生牡蠣・焼き牡蠣、金華サバのしめ鯖、笹かまぼこと抜群の相性。
▼ 試験最重要ポイント
特定名称酒比率 全国第1位(約96%)
全製造数量5,515klのうち特定名称酒が5,290klを占め、比率は約96%で全国トップ。
純米酒宣言と酒米
1986年「みやぎ・純米酒の県」宣言。主要酒米は「蔵の華」「吟のいろは」「ササニシキ」。宮城酵母(きょうかい12号の祖)。
【秋田県】(東北地方)
秋田県 (あきたけん)
東北随一の清酒生産量を誇る米どころ。横手市山内を本拠とする「山内杜氏」の技と、新政酒造から分離された現役最古の「きょうかい6号酵母」、県開発の「秋田流花酵母(AK-1/きょうかい1501号)」、「秋田酒こまち」などにより、きめ細かくふくよかで柔らかな旨口の酒を醸します。教本P118-119
▼ 歴史と酒造りの変遷
関ヶ原の戦い後、常陸国から佐竹義宣が秋田へ転封。秋田平野・横手盆地の新田開発とともに酒造業が興隆。
秋田市の新政酒造の新酒から分離。現在日本醸造協会が頒布する酵母の中で最古の現役酵母であり、6号以後の酵母の祖とされる。
山田錦並みの醸造適性と美山錦以上の栽培特性を目指し「秋田酒こまち」を開発。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米は「秋田酒こまち」(五百万石×ヨネシロ系×秋田酒40号系)が約6割を占め、「ぎんさん」「美郷錦」(山田錦×美山錦)も栽培。酵母は「6号酵母」とカプロン酸エチル系の「AK-1(きょうかい1501号)」。
奥羽山脈と出羽山地に囲まれた豪雪地帯。軟水が多いが、かつて軟水を硬水化して発酵を促す「生石灰法(せいせっかいほう)」という独自技術も発達。
きめ細かくまろやかで、米のふくよかな旨味が広がる旨口。きりたんぽ鍋、比内地鶏の塩焼き、いぶりがっことチーズ、ハタハタのしょっつる鍋と相思相愛。
▼ 試験最重要ポイント
きょうかい6号酵母発祥(新政酒造)
1930年分離。現役最古の協会酵母であり、低温長期発酵に適する重要酵母。
山内杜氏と酒米「秋田酒こまち」
横手市山内村発祥の「山内杜氏」が全県で活躍。酒米生産量全国4位で自給自足タイプ。
【山形県】(東北地方)
山形県 (やまがたけん)
「吟醸王国」と称され、2016年に都道府県単位として全国で初めて清酒の地理的表示「GI山形」の指定を受けたトップランナー。山形県工業技術センターと酒蔵が一体となった「山形県研醸会」による技術向上、オリジナル酒米「出羽燦々」「雪女神」、山形酵母により、フルーティーで透明感ある吟醸酒を生み出しています。教本P120-121
▼ 歴史と酒造りの変遷
庄内地方の余目町で阿部亀治が冷害に耐えた稲穂から「亀の尾」を選抜育種。多くの名酒米(五百万石・美山錦等の親)の祖となる。
工業技術センターの指導のもと全蔵が技術研鑽。「出羽燦々」100%・山形酵母・山形オリジナル麹菌(オリーゼ山形)による純米吟醸「DEWA33」認定制度を開始。
山形県産清酒の優れた品質と地域特性が認められ、国税庁より都道府県単位で全国第1号のGI指定を受ける。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米は美山錦×華吹雪から生まれた「出羽燦々」(DEWA33基準)、大吟醸用に開発された「雪女神」(出羽の里×蔵の華)、心白発現率が極めて高い「出羽の里」、伝説の酒米「亀の尾」。酵母は山形酵母。
出羽三山や朝日連峰、鳥海山の豊かな雪解け水(軟水)。最上川流域の盆地群(庄内・最上・村山・置賜)の激しい昼夜・夏冬の寒暖差が酒米と酒造りを育む。
果実のように華やかな香りと、滑らかでキレの良い透明感ある味わい。山形の芋煮(醤油牛肉仕立て/味噌豚肉仕立て)、米沢牛ステーキ、冷やしラーメン、玉こんにゃく。
▼ 試験最重要ポイント
GI山形(2016年指定・都道府県第1号)
都道府県単位の清酒GIとして全国初。清酒とワインの両方でGI指定を受けている3県(山形・長野・山梨)の一つ。
DEWA33と出羽燦々・雪女神
「出羽燦々」(純米吟醸用基準DEWA33)、「雪女神」(大吟醸用の最高峰酒米)、「亀の尾」(阿部亀治)。
【福島県】(東北地方)
福島県 (ふくしまけん)
全国新酒鑑評会で金賞受賞数「9回連続日本一」(歴代最長記録)という金字塔を打ち立てた名醸地。会津・中通り・浜通りの3地域で風土が異なり、会津杜氏の伝統技法と福島県ハイテクプラザの開発した「うつくしま夢酵母」、オリジナル酒米「夢の香」「福乃香」により、芳醇でふくよかな甘みと旨味の調和した美酒を醸します。教本P122-123
▼ 歴史と酒造りの変遷
近江から入封した蒲生氏郷が酒造りを振興。厳寒の会津盆地で酒造技術が磨かれ、会津杜氏の礎が築かれる。
地元杜氏を育成するために会津杜氏組合が結成され、若手醸造家への技術継承が加速。
県ハイテクプラザの徹底した技術指導と蔵元の研鑽により、鑑評会で前人未到の9回連続金賞数日本一を達成。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米は五百万石が主体で、県オリジナル品種「夢の香」(八反錦1号×出羽燦々)、大吟醸用の「福乃香」(静系94号×山形酒86号)を開発。酵母は酸が少なく華やかな「うつくしま夢酵母(F7-01)」「煌酵母」。
西部の「会津」(日本海側豪雪・軟水)、中部の「中通り」(内陸盆地)、東部の「浜通り」(太平洋側温暖)の3地域。寒冷な冬が発酵を健全に進める。
まろやかな旨味と上品な甘味が調和した芳醇旨口。会津の辛子味噌で食べる馬刺し、喜多方ラーメン、にしんの山椒漬け、浜通りのメヒカリ唐揚げ・アンコウ鍋。
▼ 試験最重要ポイント
全国新酒鑑評会 9年連続金賞数日本一
福島県ハイテクプラザの指導と会津杜氏・蔵元の技術連携による歴代最多連続記録。
酒米「夢の香」「福乃香」とうつくしま夢酵母
オリジナル酒米「夢の香」「福乃香」、酸の穏やかな「うつくしま夢酵母」の組み合わせが特徴。
【栃木県】(関東・甲信越地方)
栃木県 (とちぎけん)
関東地方随一の酒米生産量を誇る酒処。江戸時代に近江商人が移住して創業した蔵が多く、2006年には栃木県酒造組合が新世代の地元杜氏認定制度「下野杜氏(しもつけとうじ)」を創設。鬼怒川・那珂川水系の清冽な水と「夢ささら」「とちぎ酒14」などの県産米、T-ND酵母等により、ふくよかな旨味と酸のバランスが良い美酒を醸します。教本P124-125
▼ 歴史と酒造りの変遷
日光街道沿いの宿場町に上方から近江商人が移り住み、酒造業を創業。現在もその血筋を引く蔵が多い。
杜氏の高齢化に対処し、地元の下野(栃木)で育った若手蔵人を認定する「下野杜氏」制度を立ち上げ。
山田錦を母に高精白に耐える「夢ささら」を育成し、高級酒造りを推進。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
大吟醸用の「夢ささら」(山田錦×T酒25、高精白耐性)、掛米に向く多収品種「とちぎ酒14」、五百万石。酵母は栃木県産業技術センター開発のT-ND(ニューデルタ)、T-F(フラット)酵母。
日光連山や那須連山から流れる鬼怒川・那珂川・渡良瀬川の伏流水。冬は「日光颪(おろし)」が吹き荒れ、厳しい冷え込みが酒造りに適する。
旨味と酸味の調和がとれ、飲み疲れしないしっかりした味わい。パリッと香ばしい宇都宮餃子、日光ゆば料理、那珂川の鮎の塩焼き、佐野のいもフライ。
▼ 試験最重要ポイント
下野杜氏(2006年発足)
栃木県酒造組合が創設した公認杜氏資格制度。地域密着型の新世代杜氏が活躍。
オリジナル酒米「夢ささら」と酒米生産
関東一の酒米生産量を誇る(1,770t)。高精白に耐える「夢ささら」を開発。
【長野県】(関東・甲信越地方)
長野県 (ながのけん)
酒蔵数全国第2位(72場)を誇る山国の名醸地。突然変異から生まれた名酒米「美山錦」の発祥地であり、高度な共同精米「アルプス精米」やカプロン酸エチル高生産の「アルプス酵母」を開発。2021年には清酒とぶどう酒(ワイン)の双方で「GI長野」の指定を受け、清らかで透明感ある酒質を誇ります。教本P126-127
▼ 歴史と酒造りの変遷
寒冷な信州の気候の中で諏訪杜氏や小谷(おたり)杜氏が酒造技術を磨く。
長野県農事試験場で「たかね錦」にガンマ線を照射し、突然変異個体から選抜育成。全国に普及する大ヒット酒米となる。
県食品工業試験場がカプロン酸エチル高生産の「アルプス酵母」を開発し鑑評会を席巻。2021年「GI長野」指定。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米は全国第3位のシェアを誇る「美山錦」(ガンマ線変異)、大粒で心白の大きい「ひとごこち」、新品種「山恵錦」(出羽の里×信交酒545号)、「金紋錦」。酵母はリンゴ香の「アルプス酵母」。
北・中・南アルプスや八ヶ岳に囲まれた内陸性高冷地。千曲川・天竜川・木曽川の源流となる超軟水〜軟水の清らかな伏流水。
水の良さを感じる清らかで透明感のある軽快な酒質、程よい米の旨味。風味豊かな信州そば、信州サーモンの刺身、野沢菜漬け、信州の馬刺し、おやき。
▼ 試験最重要ポイント
美山錦の発祥地とアルプス酵母
1978年「たかね錦」にγ線照射して誕生した「美山錦」。カプロン酸エチル多産の「アルプス酵母」。
酒蔵数全国2位(72場)とGI長野
新潟に次ぐ全国2位の酒蔵数。山形・山梨とともに「清酒とワインのダブルGI指定」を受ける。
【新潟県】(関東・甲信越地方)
新潟県 (にいがたけん)
清酒製造免許場数(88場)および特定名称酒製造数量(21,682kl)において全国第1位を誇る日本酒王国。日本三大杜氏の「越後杜氏」、豪雪による天然の冷蔵庫環境、酒米「五百万石」「越淡麗」と軟水仕込みにより、キレ味鋭くスッキリとした「淡麗辛口」の酒質を確立。2022年には「GI新潟」の指定を受けました。教本P128-129
▼ 歴史と酒造りの変遷
三島郡寺泊野積や刈羽などを中心に越後杜氏が一大勢力を形成。冬場の出稼ぎ集団として全国各地の酒蔵で活躍。
新潟県醸造試験場の指導のもと、五百万石と軟水を用いたキレの良い「淡麗辛口」を確立。上越新幹線開通等とともに全国的大ブームを巻き起こす。
新潟県全域を対象として地理的表示「GI新潟」が国税庁より指定される。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米生産量全国2位(10,409t)。早生で淡麗な酒質を生む「五百万石」(菊水×新200号)、大吟醸用に山田錦×五百万石を交配した「越淡麗」、一本〆。酵母は新潟酵母。
越後平野と信濃川・阿賀野川。冬の豪雪が空気を清浄にし、一定の低温を保つ天然の冷蔵庫となる。雪解け水由来の清らかな極軟水〜軟水。
雑味がなくスッキリとしてキレ味抜群の「淡麗辛口」。新潟の郷土料理のっぺ、布海苔をつなぎにしたへぎそば、甘く濃厚な南蛮エビ(甘エビ)、鮭の焼き漬け、栃尾のジャンボ油揚げ。
▼ 試験最重要ポイント
特定名称酒製造量(21,682kl)&酒蔵数(88場)全国1位
全酒類生産量は全国3位だが、特定名称酒の生産量と蔵の数では全国トップ。
越後杜氏と「五百万石」「越淡麗」
日本三大杜氏の越後杜氏。淡麗辛口の基盤となった「五百万石」と大吟醸用の「越淡麗」。GI新潟指定(2022年)。
【富山県】(北陸・東海地方)
富山県 (とやまけん)
東を立山連峰、南を飛騨山脈に囲まれ、「名水百選」に全国最多タイの8か所(昭和4・平成4)が選ばれた名水の宝庫。南砺市は全国屈指のブランド五百万石の産地であり、自県開発米「雄山錦」も育成。2013年には「富山杜氏」が旗揚げし、富山湾の新鮮な魚介を引き立てる透明感ある淡麗旨口を醸します。教本P130-131
▼ 歴史と酒造りの変遷
立山連峰の雪解け水と肥沃な富山平野で米作り・酒造りが発展。越中売薬商人の全国行商とともに地酒が知られる。
能登杜氏や越後杜氏に学んだ地元蔵人が結集し、富山の風土に根ざした「富山杜氏組合」を立ち上げ。
南砺産の五百万石は全国の有名蔵から引き合いを受ける高級酒米ブランドとして確立。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米生産量は全国7位(3,089t)で、県内生産の約87%が南砺産「五百万石」。県オリジナル品種「雄山錦」(ひだほまれ×秋田酒34号、大粒高精米向き)も栽培。
立山連峰からの雪解け水が黒部川・庄川等の扇状地から自噴。環境省名水百選(昭和・平成計8か所)の軟水〜極軟水。
水の良さが際立つ透明感とスッキリしたキレ、魚の脂を流す淡麗旨口。富山湾の寒ブリの刺身・ブリしゃぶ、白えびの刺身・かき揚げ、ホタルイカの沖漬け、鱒寿司。
▼ 試験最重要ポイント
名水百選8か所(全国最多タイ)
立山連峰の雪解け伏流水が湧き出る名水地。黒部川扇状地湧水群等。
南砺産「五百万石」と「雄山錦」
南砺市は全国屈指の五百万石産地。オリジナル酒米「雄山錦」。2013年「富山杜氏」設立。
【石川県】(北陸・東海地方)
石川県 (いしかわけん)
古くは太閤秀吉の醍醐の花見で称賛された「加賀の菊酒」の歴史を誇る名醸地。日本四大杜氏に数えられる「能登杜氏」のお膝元であり、特定名称酒比率は約93%と全国第2位。金沢酵母(きょうかい14号)の発祥地であり、2005年には清酒として全国第1号の「GI白山」、2020年には「GI石川」の指定を受けています。教本P132-133
▼ 歴史と酒造りの変遷
白山信仰と手取川の水から生まれた「加賀の菊酒」が天下に鳴り響く。能登半島では冬の漁閑期に能登杜氏が誕生。
金沢国税局鑑定官室で分離。酸が少なく低温発酵に強い酵母として全国へ普及。
白山市の手取川水系の酒が清酒として日本初の地理的表示指定を受ける(2020年には「GI石川」も指定)。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
吟醸酒用の「石川門」、高精白に耐える新品種「百万石乃白」(ひやおろし・吟醸用)、五百万石。酵母は酸が低く爽やかな吟醸香を生む「金沢酵母(きょうかい14号)」など。
能登地方(能登半島・丘陵段丘)と加賀地方(白山連峰・手取川扇状地)。霊峰白山の雪解け水が地中深く浸透した清冽な伏流水。
米の旨味と酸味が力強く調和した濃醇旨口。加賀の伝統料理「治部煮(じぶに)」、冬の名物「かぶら寿司」、加能ガニ(ズワイガニ)、甘エビ、ゴリの佃煮。
▼ 試験最重要ポイント
GI白山(2005年・清酒全国第1号)& GI石川
白山市が清酒として日本初のGI指定。2020年には県全域の「GI石川」も指定。
能登杜氏と金沢酵母(14号)
四大杜氏の能登杜氏。酸が少なく綺麗な酒質を生む金沢酵母(きょうかい14号)。特定名称酒比率約93%。
【静岡県】(北陸・東海地方)
静岡県 (しずおかけん)
静岡県工業技術センターの河村伝兵衛技師が開発した「静岡酵母(HD-1等)」により、1986年の全国新酒鑑評会で入賞率全国一を達成し、各県の酵母開発競争の火付け役となった名醸地。南アルプスや富士山の極軟水と県産酒米「誉富士」「令和誉富士」を用い、穏やかで上品な香りと透明感ある「静岡吟醸」を確立しました。教本P134-135
▼ 歴史と酒造りの変遷
河村伝兵衛技師が県内の蔵元とともに「静岡酵母(HD-1, NO-2等)」を開発。1986年全国新酒鑑評会で入賞率全国1位となり旋風を巻き起こす。
山田錦にガンマ線を照射して育成された「誉富士」が誕生。ほぼ全蔵で誉富士による酒造りが行われる。
2023年11月に国税庁より「GI静岡」が指定される。また倒伏性を改良した「令和誉富士」へ切り替え。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米は山田錦の突然変異種「誉富士」「令和誉富士」。酵母は酢酸イソアミル(バナナ香)主体で上品・穏やかな吟醸香と綺麗な酸を生む「静岡酵母」。
富士山・南アルプスの雪解け水が地下深くで磨かれた「極軟水」。太平洋側の温暖な気候。
香りが優しく穏やかで、透明感と爽やかなキレ味があり、海の幸の繊細な風味を邪魔しない「静岡型吟醸」。浜名湖の鰻の蒲焼・白焼き、駿河湾の生桜えび・生しらす、静岡おでん(黒はんぺん)。
▼ 試験最重要ポイント
静岡酵母と河村伝兵衛技師
都道府県酵母開発の先駆け。穏やかで上品な吟醸香(酢酸イソアミル系)と綺麗な酸が特徴。
オリジナル酒米「誉富士」とGI静岡
山田錦の変異種「誉富士」「令和誉富士」。2023年「GI静岡」指定。特定名称酒比率約89%。
【愛知県】(北陸・東海地方)
愛知県 (あいちけん)
江戸時代には「知多酒」「三河酒」として知多半島や三河から江戸へ大量の酒を廻船輸送した大生産地。明治末期には大蔵省醸造試験所の江田鎌治郎技師が常滑の酒蔵(豊醸組)で「速醸酛」を開発・完成させ、近代日本酒造りに革命をもたらしました。独自の酒米「若水」「夢吟香」「夢山水」と濃厚な郷土料理に合う濃醇な酒を醸します。教本P136-137
▼ 歴史と酒造りの変遷
知多半島や西三河の港から江戸へ酒を運ぶ船運が発達し、江戸の酒市場で灘・伊丹と競い合う。
大蔵省醸造試験所の江田鎌治郎技師が常滑の試験酒蔵「豊醸組」で人工乳酸を添加する「速醸酛」を完成・発表。現代の酒造りの9割以上を占める基本製法となる。
平坦地向けの「若水」「夢吟香」、山間地向けの「夢山水」を育成。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
あけぼの×山田錦から生まれた「若水」(純米向き大粒)、山田錦×若水の「夢吟香」(吟醸向き)、山間地冷涼地向けの「夢山水」。酵母は名古屋酵母等。
濃尾平野・岡崎平野・豊橋平野。木曽川・矢作川の清らかな軟水と、伊吹山からの冬の「伊吹颪(おろし)」。
旨味が豊かでしっかりとしたコクがあり、味の濃い「名古屋めし」と抜群に調和する濃醇旨口。ひつまぶし、八丁味噌煮込みうどん、味噌カツ、名古屋コーチン手羽先唐揚げ。
▼ 試験最重要ポイント
速醸酛の発祥地(江田鎌治郎技師・豊醸組)
1910年、常滑の豊醸組で乳酸を人工添加する「速醸酛」が完成。近代醸造史最大の功績。
知多酒の歴史とオリジナル酒米
江戸へ大量輸送された歴史。オリジナル酒米「若水」「夢吟香」「夢山水」。
【京都府】(近畿地方)
京都府 (きょうとふ)
日本酒生産量全国第2位(50,866kl)を誇る一大名醸地。名水百選「御香水」をはじめとする伏見の地下水は中硬水〜軟水で鉄分を含まず、発酵が穏やかに進むため、きめ細かくふくらみのある上品な「女酒」を生み出します。月桂冠から分離された「きょうかい2号酵母」、京都固有の酒米「祝」「京の輝き」が活躍しています。教本P138-139
▼ 歴史と酒造りの変遷
水運の要衝・伏見港の発展とともに酒造りが拡大。御香宮神社の「御香水」など良質な地下水に恵まれる。
鉄道網の整備で東京進出に成功。大蔵省醸造試験所により伏見の酒蔵(月桂冠)から「きょうかい2号酵母」が分離される。
一時途絶えていた京都固有の酒米「祝」を農家と酒蔵が連携して復活栽培。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米は京都固有の高級酒米「祝」(大粒・低タンパク・線状心白)、「京の輝き」(五百万石系多収)。酵母は「きょうかい2号」発祥地であり、独自の「京都酵母」シリーズを展開。
伏見の地下水(名水百選・御香水)。カリウムやカルシウムを適度に含み、酒の大敵である鉄分が極めて少ない理想的な水質。
口当たり柔らかくなめらかで、きめ細かくふくらみのある上品な「女酒」。出汁を効かせた繊細な京料理、湯豆腐、千枚漬け、夏のハモの落とし(梅肉添え)、鴨南蛮。
▼ 試験最重要ポイント
伏見の水と「女酒」
伏見の中硬水〜軟水は発酵が穏やかに進み、なめらかでキメ細やかな「女酒」になる(灘の「男酒」と対比)。
きょうかい2号酵母発祥と酒米「祝」
月桂冠から分離された2号酵母。京都特有の復活酒米「祝」。生産量全国2位。
【兵庫県】(近畿地方)
兵庫県 (ひょうごけん)
日本酒生産数量(90,276kl/シェア約30%)、酒造好適米生産量(22,202t/シェア約28%)ともに全国第1位に君臨する日本酒の絶対王者。灘五郷の「宮水(硬水)」と「丹波杜氏」が生み出す力強い「男酒」、加東市・三木市を中心とする「山田錦」の特A地区と「村米制度」、きょうかい1号酵母発祥、GI灘五郷・GIはりま指定など、日本酒の歴史そのものを牽引しています。教本P140-141
▼ 歴史と酒造りの変遷
丹波杜氏による寒造りと生酛造りが確立。1840年に山邑太左衛門が西宮で「宮水」を発見し、灘五郷が日本一の酒処に成長。
大蔵省醸造試験所により灘の酒蔵(櫻正宗)から日本最初の協会酵母「きょうかい1号」が分離される。
兵庫県立農事試験場で山田穂×短稈渡船を人工交配し1936年に「山田錦」と命名。酒造家と集落の直契約「村米制度」が発展。
2018年に「GI灘五郷」、2020年に山田錦の主産地・播磨地域を対象に「GIはりま」が指定される。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米生産量は全国1位(22,202t)。山田錦(15,541tで全国シェア約55%)、兵庫北錦、兵庫夢錦、愛山。酵母は「きょうかい1号」発祥。
六甲山系から湧き出る「宮水」(硬水:リン・カルシウム・マグネシウム豊富、鉄分皆無)。六甲山北側の播磨平野(加東市吉川等)は昼夜の寒暖差と粘土質土壌で最高峰山田錦を育む。
発酵が旺盛に進み、酸がきりっと効いたキレ味鋭い力強い「男酒」(秋上がりの典型)。明石鯛の塩焼き、明石タコの刺身、神戸牛のステーキ・すき焼き、いかなごのくぎ煮、丹波のぼたん鍋。
▼ 試験最重要ポイント
生産量日本一(約30%)& 山田錦日本一
生産数量90,276kl(シェア30%)、山田錦22,202t(シェア約28%)で圧倒的日本一。
宮水(硬水)と男酒・丹波杜氏・村米制度
リン・Caが多く発酵が速い硬水「宮水」により「男酒」が誕生。きょうかい1号酵母発祥。GI灘五郷・GIはりま。
【奈良県】(近畿地方)
奈良県 (ならけん)
「日本清酒発祥の地」として名高い古都。室町時代に当時の最高学府であった菩提山正暦寺(しょうりゃくじ)にて、乳酸発酵水(そやし水)を用いた「菩提酛(ぼだいもと)」、諸白造り、火入れ技術など近代酒造りの基礎が確立されました。奈良県唯一の奨励品種「露葉風」と奈良うるうる酵母により、芳醇で深い旨味の酒を醸します。教本P142-143
▼ 歴史と酒造りの変遷
奈良市郊外の正暦寺で「菩提酛」(そやし水仕込み)が考案され、段仕込み・諸白造り・火入れなど画期的な技術が誕生。寺院醸造として全国を席巻。
大寺院の衰退とともに酒造りの中心は伊丹や灘へ移るが、奈良流の高度な技術がその礎となった。
県内酒蔵有志が正暦寺にて菩提酛仕込みを復活させ「奈良県菩提酛による清酒製造研究会」として商品化。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
奈良県唯一の奨励酒造好適米「露葉風」(白糸×予州、大粒・巨大な白濁心白、高精米が難しいが独特の厚みある味わい)。酵母は「奈良うるうる酵母」等。
奈良盆地を取り囲む山々からの伏流水。冬は冷え込みが厳しい盆地気候。
米の旨味とコクが豊かで、酸がしっかりした芳醇旨口。柿の葉寿司(鯖・鮭)、三輪そうめん(にゅうめん)、大和肉鶏の塩焼き、伝統の奈良漬け。
▼ 試験最重要ポイント
清酒発祥の地・正暦寺と「菩提酛」
室町時代に正暦寺で確立された「そやし水(乳酸水)」を用いる酒母。近代醸造技術の原点。
オリジナル酒米「露葉風(つゆばかぜ)」
奈良県唯一の奨励品種。大粒で心白が極めて大きく、野性味と深いコクを持つ。
【岡山県】(中国・四国地方)
岡山県 (おかやまけん)
現存する最古の酒造好適米であり、山田錦や五百万石のルーツとなった「雄町」の原産地。全国の雄町生産量の約9割を岡山県が占め、特に赤磐地区の「赤磐雄町」は最高峰ブランドとして名高い。備前杜氏・備中杜氏の伝統技法と瀬戸内の温暖な気候により、幅のあるふくよかな旨味とまろみ、熟成による秋上がりを見せる酒を醸します。教本P144-145
▼ 歴史と酒造りの変遷
備前国上道郡高島村字雄町の農家・岸本甚造が大山参拝の帰途に見慣れない稲穂を発見。持ち帰って育種し「雄町」が誕生。
昭和初期の品評会で雄町の酒が上位を独占。戦後草丈が高く倒伏しやすいため激減したが、蔵元の熱意で赤磐等で復活。
雄町特有のふくよかで野性味ある旨味が全国の日本酒ファン・蔵元を魅了し、「オマチスト」と呼ばれる熱狂的ファンを生む。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米生産量は全国第3位(5,044t)。雄町(4,540tで全国の約9割)、飯米のアケボノ、朝日。酵母は岡山白桃酵母等。
「晴れの国」と呼ばれる温暖少雨の瀬戸内気候。三大河川(吉井川・高梁川・旭川)がもたらす清らかな軟水。
コクと厚みがあり、口当たりまろやかで余韻の長い旨口(秋上がりの代表格)。ままかりの酢漬け、鰆(サワラ)の塩焼き・たたき、千屋牛の牛鍋、日生のカキオコ(牡蠣お好み焼き)。
▼ 試験最重要ポイント
「雄町」の発見(1859年 岸本甚造)と全国シェア9割
現存最古の酒米品種。交配親として山田錦や五百万石の祖先に位置する最重要品種。
赤磐雄町と備前・備中杜氏
赤磐地区の「赤磐雄町」は最高級ブランド。酒米生産量全国3位の酒米移出県。
【広島県】(中国・四国地方)
広島県 (ひろしまけん)
「吟醸酒の父」と呼ばれる三浦仙三郎が明治期に「軟水醸造法」を確立した近代日本酒のイノベーション拠点。佐竹製作所による「竪型精米機」の開発、吟醸用の「高温糖化酛」の発明、そして醸造研究の最高機関「独立行政法人酒類総合研究所」(東広島市西条)を擁する名醸地。八反錦や千本錦を用い、柔らかく芳醇な美酒を醸します。教本P146-147
▼ 歴史と酒造りの変遷
安芸津の三浦仙三郎が発酵の遅い軟水に適した麹造り・低温発酵法を開発し『改醸手引草』を著す。灘に勝る吟醸酒造りを確立。
佐竹製作所(東広島市)が竪型精米機を開発し高精白が可能に。また速醸酛からさらに純粋培養酵母を育てる「高温糖化酛」を開発。
国の醸造研究所(現:酒類総合研究所)が東京・滝野川から東広島市西条に移転し、全国新酒鑑評会の開催拠点となる。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米は伝統の八反系「八反錦1号・2号」「八反35号」、山田錦×中生新千本から開発された「千本錦」(大吟醸向き)、こいおまち。酵母は広島もみじ酵母、せとうち21号等。
中国山地から瀬戸内海へ3段の階段状地形。花崗岩層を通る鉄分のない極軟水〜軟水。
口当たりが滑らかで柔らかく、ふくよかな旨味と穏やかな酸が広がる芳醇旨口。広島の焼き牡蠣・カキフライ、宮島の穴子飯、広島風お好み焼き、小イワシの天ぷら・刺身。
▼ 試験最重要ポイント
三浦仙三郎と「軟水醸造法」(1898年)
軟水特有の低温長期発酵技術を開発し、近代吟醸酒造りの扉を開いた。広島杜氏。
酒類総合研究所(東広島市西条)と竪型精米機
酒類総合研究所が移転。佐竹製作所による竪型精米機、高温糖化酛の開発。酒米「八反錦」「千本錦」。
【山口県】(中国・四国地方)
山口県 (やまぐちけん)
純米系清酒の製造比率が約96%と全国第1位を誇る純米大吟醸・純米酒の先進県。特定名称酒製造量6,766klのうち純米系が6,526klを占める驚異的な高品質化を達成。オリジナル酒米「西都の雫」や「やまぐち・桜酵母」、珍しいカルスト地形の硬水湧水、2021年指定の「GI萩」など、革新的な酒造りを展開しています。教本P148-149
▼ 歴史と酒造りの変遷
長州藩の城下町(萩)や港町で酒造りが栄え、大津杜氏や熊毛杜氏が酒を醸す。
旭酒造「獺祭」をはじめ、純米酒・純米大吟醸に特化し四季醸造や遠心分離機を導入する蔵元が台頭。全県で純米比率が急上昇。
萩市と阿武町を対象に地理的表示「GI萩」が指定され、地域米(山田錦・西都の雫)によるテロワール醸造が進む。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
オリジナル酒米「西都の雫」(穀良都×西海222号、線状心白で高精米向き)、山田錦。酵母は桜の花から分離した「やまぐち・桜酵母」、山口9H・9E酵母。
三方を日本海・瀬戸内海・響灘に囲まれる。県中央部の秋吉台カルスト台地周辺ではカルシウムを豊富に含む珍しい「硬水」が湧く。
華やかな吟醸香と透明感があり、スッキリと洗練されたモダンな美酒。下関のとらふぐ刺身(てっさ)・ふぐちり、山口名物瓦そば、長州黒かしわの焼き鳥、岩国寿司。
▼ 試験最重要ポイント
純米系比率 全国第1位(約96%)
特定名称酒のほとんどが純米酒・純米吟醸・純米大吟醸。全国最高水準の純米特化県。
酒米「西都の雫」とGI萩(2021年指定)
穀良都の血を引く「西都の雫」。2021年指定の「GI萩」。秋吉台カルスト由来の硬水仕込み蔵も存在。
【高知県】(中国・四国地方)
高知県 (こうちけん)
森林面積率84%(全国1位)の険しい山々と太平洋の黒潮に抱かれた酒豪の国。伝統的なキレ味抜群の「淡麗辛口土佐酒」に加え、県工業技術センターが開発した高カプロン酸エチル生成酵母「CEL酵母(CEL-19, CEL-24等)」による華やかで甘美な酒質が大ブレーク。ソユーズで宇宙を旅した「宇宙酒」「宇宙深海酒」など独創的な挑戦を続けています。教本P150-151
▼ 歴史と酒造りの変遷
山内一豊の入封以来、大酒飲みの気風が育まれ、皿鉢料理とともに飲む淡麗辛口酒が定着。
県工業技術センターがセルレニン耐性を持つ高カプロン酸エチル生成「CEL酵母」を開発。高知酒のイメージを一新。
ロシアの宇宙船ソユーズに県産酵母と酒米を搭載して宇宙ステーションで滞在させ、帰還した酵母で仕込んだ「土佐宇宙酒」を発売。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
オリジナル酒米「吟の夢」(山田錦×ヒノヒカリ、心白発現率高く高精米向き)、「土佐麗」(風鳴子×吟の夢)、「風鳴子」。酵母はリンゴ香の極致「CEL-24」「CEL-19」、AC-95、宇宙酵母。
年間降水量2,666mmの多雨地帯。「奇跡の清流」仁淀川や四万十川の極めて清らかな超軟水〜軟水。
爽快でキレの良い「淡麗辛口」と、CEL酵母による「華やかフルーティー甘口」の両輪。豪快な皿鉢(さわち)料理、藁焼き鰹のタタキ(塩・ニンニク)、ウツボの唐揚げ、ドロメ(生シラス)。
▼ 試験最重要ポイント
CEL酵母(CEL-24, CEL-19)
月桂冠の特許を元に開発された高カプロン酸エチル生成酵母。高知酒の新たな代名詞。
オリジナル酒米「吟の夢」と宇宙酒
「山田錦」と「ヒノヒカリ」から育成された「吟の夢」。ソユーズで周回した酵母による「宇宙酒」。
【福岡県】(九州地方)
福岡県 (ふくおかけん)
九州=焼酎のイメージを覆し、清酒免許場数68場(全国第4位)を誇る日本唯一の「日本酒と焼酎の二刀流の県」。筑後川流域の筑後平野に酒蔵が集まり、糸島地区は全国屈指の「山田錦」の銘産地。筑後杜氏(柳川杜氏・三潴杜氏)の技術と県産米「夢一献」「吟のさと」、ふくおか夢酵母により、キレ味鋭く食中酒に最適な美酒を醸します。教本P152-153
▼ 歴史と酒造りの変遷
博多に政府軍基地が置かれ酒造が盛んになるが、灘の硬水仕込みを真似て腐造が続出。筑後川の軟水に合う独自の酒造技術を開発して克服。
2006年に福岡県初の酒造好適米「夢一献」が登録。続いて山田錦の血を引く短稈良質米「吟のさと」を育成。
仕込み蔵全体を冷蔵庫化し、年間を通して低温発酵を行う先進的な蔵が登場し全国的人気を獲得。
▼ 原料・気候風土・酒質と食の相性
酒米は糸島産「山田錦」が約8割以上を占め、県オリジナル品種「夢一献」(北陸160号×チヨニシキ)、「吟のさと」(山田錦×西海222号)、「壽限無」。酵母はリンゴ酸高生産の「ふくおか夢酵母」。
筑紫平野・福岡平野を流れる筑後川水系の豊かな軟水。温暖な気候だが内陸部は冬の冷え込みがある。
酸味とキレがあり、温めても抜群に美味い燗向きの辛口酒から、冷蔵仕込みの透明感ある酒まで多彩。博多水炊き、ドジョウの柳川鍋、筑前煮、辛子明太子、博多もつ鍋、天然フグ。
▼ 試験最重要ポイント
日本酒と焼酎の二刀流 & 酒蔵数全国4位(68場)
九州で佐賀と並ぶ日本酒どころ。清酒免許場数は全国4位。
糸島産「山田錦」とオリジナル酒米「吟のさと」「夢一献」
糸島市は全国屈指の山田錦産地。酒米自給自足タイプ。ふくおか夢酵母。
【成人1人当たりの酒類消費量】(令和4年度国税庁統計)
都道府県別 成人1人当たり消費数量 (しょうひすうりょう)
成人1人当たりの清酒消費量は、新潟県が8.3Lで圧倒的首位。上位11県のうち東北(山形・福島・青森・秋田・岩手)と北陸・甲信越(新潟・石川・富山・福井・長野)および島根が独占。一方、焼酎消費量は南九州(鹿児島・宮崎・大分・熊本等)が上位を占めています。教本P154
🍶 成人1人当たり清酒消費量 上位11県
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1新潟県8.3 L (全国平均の2倍以上)
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2山形県6.1 L
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3石川県 ・ 福島県6.0 L (同率3位)
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5青森県5.9 L
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6富山県 ・ 秋田県5.6 L (同率6位)
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8島根県5.5 L (西日本トップ)
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9長野県5.4 L
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10福井県 ・ 岩手県5.1 L (同率10位)
🍠 成人1人当たり焼酎消費量 上位県傾向
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1宮崎県 ・ 鹿児島県本格焼酎の圧倒的本場
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2大分県 ・ 熊本県麦焼酎・球磨米焼酎の産地
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3長崎県 ・ 福岡県 ・ 佐賀県壱岐焼酎など九州全域
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東青森県 ・ 秋田県 ・ 岩手県甲類・乙類ともに東北でも消費大
▼ 試験最重要ポイント(消費量統計の急所)
清酒消費量トップ3の暗記
1位: 新潟県(8.3L)、2位: 山形県(6.1L)、3位: 石川県・福島県(6.0L)。全国平均は3.9L。
地域的偏りと文化圏
清酒消費上位は日本海側・寒冷地(東北・北陸・甲信越)が独占。西日本で上位11県に入ったのは島根県(5.5L)のみ。
【復習クイズ】都道府県別の酒造りと特徴
上で学んだ全国ランキング・杜氏・各都道府県の特徴からランダムに20問が出題されます。知識を定着させましょう!
- 選択肢1
- 選択肢2
- 選択肢3
- 選択肢4
正解 or 不正解
正答:答えはこちら
正解数/問題数